インクジェットシートとは
インクジェットシートとは、大判プリンターでデザインを印刷するための専用シートを指します。カッティングシートと同様に、このシートの裏面には粘着剤が付いており、剥離紙で覆われています。使用時には、剥離紙を剥がしてシールのように貼ることができます。
光を透過するタイプや、さまざまな質感のものが存在し、看板製作には欠かせない素材です。主に「水性用インクジェットシート」と「溶剤用インクジェットシート」の2種類があり、それぞれプリンタのインク成分に応じて異なる仕様のメディアに対応しています。
家庭でよく使われるのは「水性用インクジェットシート」で、水を溶媒とするインクを吸収できる紙製の製品が多いのが特徴です。一方、看板業界で一般的に使われるのは「溶剤用インクジェットシート」で、こちらは有機溶剤を溶媒とするインクに対応するため、塩化ビニール製や、溶剤を吸収できるインク受容層を持つ素材が必要とされます。
カッティングシートとは
カッティングシートとは、塩化ビニール製の薄いシートで、表面に色が付いており、裏面には粘着剤が施され、剥離紙で覆われたシール状の素材です。使用時には剥離紙を剥がして貼ることができ、表面の色や質感も多様で、幅広い用途に対応しています。
実は「カッティングシート」という名称は、中川ケミカル(株)の登録商標です。(正式には「マーキングフィルム」と呼ばれます) しかし、看板業界では「カッティングシート」として広く認識されています。
また、他にも「ダイナカルシート」や「スコッチカル」「タックペイント」など、メーカーごとに異なる商品名が存在しますが、これらを総称して「マーキングフィルム」と呼ぶのが正しい表現です。
シートのバリエーションも豊富で、擦りガラス調、反射タイプ、メタリック仕様などさまざまな種類があります。
カッティングシートとインクジェットの違い
インクジェットシートは、屋内外を問わず使用でき、耐候性の高いシートに溶剤系インクで印刷を行います。
一方、カッティングシートは低コストで提供されますが、単色のためデザインの表現に制約があります。さらに、文字数が多くなる場合には、最終的にインクジェットシートに比べてコストが高くなる可能性があります。
これらの特性を十分に理解し、プロジェクトに最適な加工方法を選ぶことが大切です。
インクジェットシートの特徴
看板制作においてインクジェットシート(塩ビシートに印刷する方法)のメリットは、カッティングシート(単色のカラーシート)では難しい繊細なデザインや、グラデーションを含む複雑なデザインを再現できる点にあります。カッティングシートでは表現しにくい多色使いや細部のデザインも、インクジェットシートであれば高い精度で印刷可能です。
さらに、カッティングシートでは色ごとに異なるシートを使用する必要がありますが、インクジェットシートでは多色を使用しても印刷する白塩ビシート自体は1種類のため、材料費が増加しないという利点もあります。
ただし、カッティングシートにはインクジェットシートよりも長期間の耐候性を持つものもあるため、看板の用途やデザインに応じて、適切なシートを選択することが重要です。