空き巣や侵入窃盗などの犯罪は、窓ガラスを破って家に侵入する手口が多くを占めています。警察庁の統計によると、侵入経路の約6割が「窓」からであり、その中でも最も多いのが「ガラス破り」です。そうした被害を未然に防ぐための対策として注目されているのが、防犯用のガラスフィルムです。
防犯フィルムは、ガラスに貼るだけで割れにくくなり、侵入にかかる時間を延ばして犯行を諦めさせる効果が期待できます。本コラムでは、防犯ガラスフィルムの主な種類と、それぞれの特徴について解説していきます。
1. 貫通防止タイプ(防犯性能が高い標準型)
防犯用ガラスフィルムの中で最も広く利用されているのが、「貫通防止タイプ」です。これは、透明なポリエステル製のフィルムで、厚みが200ミクロン(0.2mm)以上のものが一般的です。JIS(日本産業規格)では、厚さ350ミクロン以上のものが「防犯フィルム」として分類され、警察庁が推奨する「防犯建物部品」にも登録されています。
このタイプのフィルムは、バールやハンマーでガラスを割ろうとしても、フィルムがガラスの破片をしっかりと保持し、簡単に貫通できない構造となっています。泥棒にとって「時間がかかること」は大きなリスクとなるため、侵入をあきらめる抑止効果が高いとされています。
また、透明で目立ちにくいため、外観を損なわずに設置できる点も大きなメリットです。防犯と同時に飛散防止の役割も果たすため、地震や台風など自然災害時の安全対策としても活躍します。
2. 型板ガラス用フィルム(凹凸ガラスにも対応)
玄関や浴室の窓などには、プライバシー保護のために「型板ガラス(片面が凹凸状)」が使用されていることが多くあります。しかし、一般的な防犯フィルムは平滑なガラス面にしか貼ることができません。そこで活躍するのが「型板ガラス対応フィルム」です。
このフィルムは粘着剤に柔軟性を持たせ、凹凸面にもしっかり密着できるよう設計されています。ただし、通常のフィルムと比べて厚みや強度の確保が難しく、防犯性能は若干劣る傾向にあります。それでも、何も貼っていない状態よりははるかに防犯効果が高く、対応できる製品も年々改良されています。
設置には専門の施工技術が必要な場合も多く、DIYでは貼りづらい点に注意が必要です。
3. ミラーフィルム・スモークフィルム(目隠し+防犯)
ガラスフィルムには「防犯」と同時に「目隠し効果」や「遮熱効果」も備えたタイプがあります。中でも人気なのが「ミラーフィルム」や「スモークフィルム」と呼ばれる製品です。
ミラーフィルムは外から見ると鏡のように反射して室内が見えにくくなる一方、室内からは外が見える構造になっています。スモークフィルムはガラスに色が付き、室内の様子を自然に隠すことができます。
どちらも「目隠し+貫通防止」の効果を兼ね備えており、外部からの視線を遮ることで犯人の犯行意欲を低下させる効果が期待できます。特に通りに面した窓や1階の部屋など、外から室内が見えやすい場所には非常に有効です。
ただし、夜間に室内が明るくなると透けてしまう場合もあるため、カーテンやブラインドとの併用がおすすめです。
4. 紫外線カット機能付きフィルム(防犯+UV対策)
防犯性能に加えて、紫外線カット機能を備えたガラスフィルムも存在します。紫外線は家具や床材、カーテンなどの色あせの原因となるため、住宅を美しく保つためにもUVカットは有効です。
このタイプは透明で貼っても目立ちにくく、光は通しながら紫外線だけをブロックするため、室内の明るさを損なわずに済みます。防犯性能としては厚みや強度によりますが、JIS基準を満たしたものを選べば、しっかりと貫通防止効果を発揮します。
防犯対策をしながら、日常の快適さも高めたい方におすすめのタイプです。
まとめ:目的と設置場所に合わせた選択を
防犯用ガラスフィルムは種類も多様化しており、単にガラスを強化するだけでなく、目隠しやUVカットなど、複数の機能を兼ね備えたものも増えています。重要なのは、自分の住まいや環境、目的に合ったフィルムを選ぶことです。
侵入口になりやすい窓には厚手の貫通防止タイプ、浴室や玄関の型板ガラスには専用フィルム、外からの視線が気になる場合には目隠しタイプ、家具の日焼け対策にはUVカット機能付きなど、それぞれの特性を理解した上で最適な製品を選ぶことが防犯対策の第一歩となります。
また、効果を十分に発揮させるためには、専門業者による施工を検討するのも一つの方法です。貼り方にムラがあったり気泡が入ったりすると、本来の性能を発揮できない恐れがあるため、仕上がりの精度にも注意を払いましょう。
近年、空き巣被害は時間帯や場所を選ばず発生しています。窓という弱点をしっかり補強することで、大切な住まいと家族を守る安心感を手に入れましょう。
SHO ARTではガラスフィルム施工も承っております。お気軽にご相談ください。